主人公をみつけた

世界の隅にいるオタクのブログ

人生は何が伏線になるかわからない

 

 

 

 MeseMoa.の冬ツアー、シングルコレクションが終わった。

 あっという間だった。福岡から始まり、東京、大阪、北海道、宮城をめぐり、愛知でファイナルを迎えたツアー。

 多幸感と満足感と、再発見に満ち溢れた本当に素敵なステージだった。

 

 今までの歴史を詰め込んだ怒涛のセットリスト。

 すべて表題作なこともあって一つひとつの世界観は深く、飲み込まれていく。

 そして全ての曲をhalyosyさんが作っているだけあって、この日のために作り続けられたのかと思うほど構成が素晴らしかった。

 なのでこのブログはマジでちまちま全部の曲の感想を綴るだけです。

 あと本当に記憶力が貧弱なので多少順番前後してる可能性あります、ごめんな!

 記憶飛ぶくらい””良””かったってことにしてくれ!

 

 

 

 

 初めのブロックは雨音から始まる。

 後悔と悲痛な愛を歌う「Muddy Water」。

 しみじみ聞いていると、これを改名直後の1stシングルにぶち込むのってなかなか勇気がいる気がする。

 あおいくんの叫ぶような歌声、とみたんの縋るような歌声が混ざるとまさに雨に濡れたような冷え冷えとした切なさが胸を縛る。

 深いチェロの音も相まって、むすめん。から「一歩前に進んだ」大人の魅力を叩きつけられる。

 

 

 それからノイズが入って、愛憎が入り混じり感情の矛盾に苦しむ「真逆の糸」が始まる。

 この曲は元々構成がずるい! 9人という大人数をすごく綺麗にまとめて、舞台のように演出している。

 現在歌のパフォーマンスを制限している二番くんをあえてセンターに置いて、言葉少なに物語をリードする存在に仕立てたのは本当に正解だと思う。

 一種の群像劇のような歌だ。

 愛憎交々、「愛されなかった」側の人間が嫉妬を歌う。そして時折入るあおいくんの問いかけに対する二番くんの応答が、物語をかき乱し動かしていく。

 そしてこの曲は本当にハーモニーがすごかった!

 「I need them」と叫ぶ歌声の分厚さ、繊細さ、迫力。

 シングルコレクションで聴いた時、まるで知らない曲を叩きつけられたかのような衝撃だった。この曲はこんなに重厚な響きがあっただろうか?

 あのハーモニーを思い出すだけで涙が出てくる。にーちゃん、あなたの歌声は本当に宝物だよ。

 

 

 さて物語は一気に切り替わり、「殺生石セッション」の世界へ。

 衣装は黒基調のスーツで背景はシングルのジャケットたちなのに、不思議なことに春爛漫の桜が見えるんだからとみたんの存在感はすごい。

 こちらも群像劇のような構成だが、言葉少なだった「真逆の糸」とは違い「殺生石セッション」の妖狐は多弁だ。

 周りの8人も登場人物というよりは語り部である。

 星が落ちても僕は何処にも行かないと泣くとみたんの独唱の後、褒めてと縋る妖狐に、メンバーは作中のセリフを囁く。

 これはすごくニュアンスなんだけど、特に冒頭4人の台詞は漢字表記の「偉いね」「綺麗だ」「可愛い」「優しい」なんだけど、最後に言う時はひらがなの「えらいね」「きれいだ」「かわいい」「やさしい」じゃない?

 すごく優しい声で愛を囁くメンバーと声を震わせながら褒めて、惚れてと泣くとみたけを見ていると、本当に昔とみたけは妖狐で、ひょんなことで愛を知ってしまって、愛されたくなって現世に現れたんじゃないかなって思ってしまう。

 この曲の彩度は、とみたん以外には作り上げられなかったと思う。

 

 

 そしてアレンジのストリングスが入り、物語は「カラメテ」へ。

 このアイドル、しゃべらせるとコントとおふざけと下ネタが止まらないのにどうして救われない愛を歌うとこんなに最高なんだろう。

 この曲が歌うのは「喪失」だ。何かを失っても世界は回ってしまう。生活は営まれてしまう。明日は来てしまう。朝はあっけなく夜を殺してしまう。

 世界が一変することがないから、「僕」はずっと縋り付いてしまう。「僕」が離さなければ、忘れなければ、解かなければ「君」がずっといてくれると思って。

 この曲が発表された時にはもう、このグループの進路は決まっていた。

 その進路を心の中に隠しながらこの曲を披露した時、どんな風に思っていたんだろう。

 少なくとも私は、推しを失った後の自分が塞ぎきれない穴を無視しながら今まで通りの生活を送ってしまう自分が見えて、すごく辛い。

 

 

 さてここまでの怒涛のブロックが終わるとようやく最初のMCへ。

 今までもだったけど、今回のツアーは特にとみたんの素直な言葉やそのMCにすごく救われた。

 千秋楽である愛知公演での「殺生石セッション」の最後に畳み掛ける「褒めて」「惚れて」のパートで、とみたんは声を掠れさせて、泣いていた。

 寂しいよね、無理すぎるよね。

 ステージに立つスーパースターそのものな人が、そうやって言ってくれることですごく楽になる。

 そうやって思っていいんだな、って。

 ちなみに今回のツアーで定番(?)になったトムジェリ寸劇は飽きるまで擦り続けてほしいマジで頼む。いけ〜!!!

 

 

 

 ここからは楽しいパート!

 わちゃわちゃしたMCからすごく自然に(自然に?)「歴史を刻んできたねえ」と誰からともなく言って、それから「着陸!月面ZENBU」が始まっていく。

 家で気取ってた時も蜂が遊んでた時も私はその場にいなかった。でもこのツアーを通して、なんとなく遠い位置にあった印象の「むすめん。」時代の曲が自分の中にちゃんと刻みつけられた感じがした。

 この曲もエモが詰まってるよなあ。

 そうだよ、当たり前だけど、MeseMoa.の歴史は全部あなたと刻んできたんだ。

 

 

 そして兄作詞のRAP!!

 19日に早速ブログを上げてくれましたね。仕事出来男すぎ〜!

lineblog.me

 これに関しては私がうんちゃかいうのは蛇足にも程があるのでこの素敵ブログを読んでください。

 個人的にとみたんとあおいくんのパートが大好きです。

 

 

 このサイコーフローなRAPにつながり、「新鮮!竜宮城RENBO」へ。

 この曲もすごく楽しい!

 聞くたびに、コレオグラファーが実はmegさんで〜〜す!という嬉しいサプライズをトラライの3人にする動画を思い出します。

 間奏のみんなでパラパラするところ、ツアー後半からどんどんぷんちゃん・とみたん・あおいくんのジャケットプレイが派手になってくのがすげ〜よかったな……

 

 

 そして一気に雰囲気が変わり、「灼熱!鬼ヶ島DANJI」が始まります。

 この曲、個人的に今まで存在感が正直薄い楽曲だったんですけど、ツアーを通してマジで大好きになってしまった。

 王道を通ってこれたわけじゃないMeseMoa.だからこそ輝く歌だ。

 途中メンバーがはけて魔王(CVとみたけ)と鬼滅隊めせもあ。の戦いが始まるんだけど、もうこの、この殺陣がさ〜〜〜〜!!!!!

 殺陣大好き芸人すぎて本当に初見の時息を飲みすぎて絶命の危機だった。

 個人的に最高ポイントは数多いんですが、フォーゲルさんが最後まで刀を後ろに流したまま、少し身を前にかがめた状態で袖にはけていくのが本当にカッコ良すぎてGIF画像で欲しい。

 それからあおいくんって本当に身体能力に恵まれてる! 決して体格に恵まれているわけじゃないのに、彼は本当に自分を大きく大きく堂々と見せるのが巧い。

 殺陣パートを終えた後もしっかり歌い切って、白服さんの「一閃!」で魔王(CV:とみたけ)は消滅する。

 ここで見得を切るような動きをするんだけど、個人的に兄プリゲルの動きがめちゃ良くてここもGIF画像が欲しい。

 思わぬ伏兵、DANJIがこのツアーであたしゃ大好きになっちまったなマジで……やられたぜこりゃあ……

 

 

 殺陣で大興奮したところで、白服さんとあおいくんのナレーションが入ります。

 庭の樹を思い出させるような柔らかい言葉で綴られる「君」への愛。

 そしてのっくんの「あの日の君を忘れない」で「Flower Wind」のイントロが入ります。

 この曲、もうシンプルに良い曲だな………………

 マイクに衣装に用いられているブーケが付けられているのもすごく粋な演出だった!

 衣装が黒基調だからこそ、花がすごく映えて舞台がわっと華やかになって。素敵だったなあ。

 そして私は緑推しなので「これからは会いたい時に君がいる」という歌詞でいろんなものが刺さって死んでしまう……

 

 

 そんな死んでいるオタクを猛追するのが「サマー⭐︎ビーナス〜真夏のアイドル〜」なんだけど、もうオモロすぎて死ぬなに?

 あの小道具は誰チョイスなのかめちゃくちゃ気になるし二番くんにあのクソ長えソフトクリームとMIBみたいなサングラスかけさせたの天才。

 そしてとみたんにあのフラワーサングラスさせたのめちゃくちゃいい。似合いすぎる。もしかしてそれかけて産まれてきた?

 個人的に落ちサビ前のとみたんとぷんちゃんの掛け合いが本当にもう毎回フリーダムすぎてどんなにFWで情緒がぐちゃぐちゃになっててもお腹抱えて笑っちゃう。

 そう思うと本当にここにサマビがあって救われたなあ。

 

 

 ここでメンバーがはけたと思ったら新しい小道具!そう!オタクみんな待望の!黒縁メガネ!!!(クソデカ主語)

 ありがとう世界!ありがとう太陽!

 途中老眼鏡みたいになってるメンバーもいてそれはそれでかわいかったな。

 ていうかこの曲もすごく…いい…再発見ばっかりしてるなこのツアー……

 セーブポイントなんかない人生で、踊り子になるのが夢だった野崎さんが本当に夢を叶えてセンターで踊ってるの……良……

 「どんなエンディングにも 恥じぬ笑顔ですすめ」も個人的にすごく刺さりました。エンディングね…………

 そして曲終わりにメンバーがはけていくから今度はなんか寸劇でも始まるんかなと思いきや、うさ耳!!

 あのガッツポーズをうさ耳をつけた成人男性たちがキメてくれたら、今度は「Rabbit Jump!!」の始まりです。

 

 

 この時推しカメラしかできてなかったのでぜひ他のメンバーのウサギムーブを教えて欲しいんですけど、フォーゲルさんはウサギ飛びしたり(すごく疲弊してた)(あたりまえ体操)ウサギみたいにフガフガしながら水をがぶ飲みしたりしてました。本当にかわいい。飼わせてくれ。

 この曲もすごくかわいいなあ。お互いの耳を折り曲げたりなんだりするわちゃわちゃが本当に可愛くて、やられる!って時にちゃんと外れないようにカチューシャを支えてるのがいじらしくてかわいかった。

 あおいくんは頭部への影響を鑑みてかカチューシャはつけずにうさたん先輩(名前あってる?)を携えての出演だったけど、逆にアクセントになってちょうどよかった気がする。

 うさ耳をつけたそれなりにでかい成人男性がずらっと並ぶといろんな意味の迫力がありましたね……

 

 

 ここでメンバー半分ずつ残ってお着替えタイム兼MC。

 みんなもっとちゃんと給水すればいいのに体力を余計に削るようなMCをするから心配通り越してめちゃくちゃウケたな。ちゃんと休みな〜!?!

 あとこのMCタイムの最後に入るとみたんの「えっちな曲を歌います!!!!!!」アピールタイムめちゃくちゃ好きでした。

 

 

 そしてセクシータイムこと(?)「Honey Bee」が始まります。この曲はすごく引き締まる曲だし、メンバーも「はじめてもらった大人っぽい曲!」という矜持があるんだなあと感じる。

 MVの時点でクオリティはしっかりだしているのに、観るたびに動きの重さというかキレが鋭くなっていて、まさに蜂の針! 

 それに加えてどろりとした甘ったるい蜜を呑まされるような深い歌声が添えられるんだから最高だよ……

 元々好きだけど、「君を忘れない」の迫力が凄まじく鳥肌がずっと立ってたな。

 

 

 セクシータイムは続き、「Chameleon Colors」で大人の魅力のさらなる深みへ。

 ここではMVを思わせる薄布を使ってでの演出でしたね。フラメンコ調も相まってすごく色っぽい演出!

 フラメンコみたいな動きってうまくやらないとコミカルになっちゃうというか、キレがないとなんか違和感を生む印象なんですけどさすが10年目の貫禄!!

 あと個人的にこの曲の歌詞、すごく秀逸だなあと思います。「Flower Wind」もですけど、メンカラを歌詞の深みに落とし込むのがうますぎる。

 恵を象徴するような白服さんの黄金色、咲き乱れるとみたんの桜色、凛としたぷんちゃんの露草色……全部拾ったらキリないから我慢するけど本当に味わい深い……

 

 

 色めくようなターンが終わると、ついに待望の新曲「イイコノママデ」!

 この曲に関してはもうなにもいえねえ……もう、本当に歌詞が天才……

 多幸感がこんなに溢れているのに切なくて、だけど希望もキラキラ輝いている本当に素敵な曲。

 聞くたび爆泣き。ありがとうにーちゃん。

 

 

 最高の最新曲の次は、デビュー曲である「War Cry〜アイドル気取りで何が悪い!〜」へつながります。一番最新から始まりの曲に戻るのめちゃくちゃいい流れ。

 めせもあ。の曲の中では割と定番のフレーズになった「僕の名前を呼んでよ」ってすごく秀逸なフレーズだよなあって思う。

 コールの煽りとしてもいいし、ニコニコ動画出身の彼らにとって「名前/ハンドルネーム」って第二の人生の象徴そのものだと思うし、それに奇しくもコロナ禍の現状としては「呼ぶ」ってすごく特別な行為になってしまったし。

 アイドル気取りが武道館完売させたってさ。微力なオタクだけど鼻の下擦りたくなっちまうよな。

 

 

 そして冬の名曲、「たじたじ*ファンタジー〜君のアイドルになりたくて〜」へ!

 いいよね、アイドル気取りでなにが悪い!から、君のアイドルになりたい!って物語性があってすごく素敵。

 冬のワクワクする彩りや昂りと、カッコつけきれない男の子がちゃんと両立して描かれてるのめちゃくちゃいい。

 しかもそのセンターが人形みたいに整った顔をしたのっくんがやってるんだから味がある。

 V字になって下手→上手でカノンする振り付けすごく見てて気持ちくてかわいい。

 

 

 そして本編最後の曲が「アワアワ」!

 この曲ただあわあわしてるかわいい曲かと思ったらなんだか社会人にすごく沁みる曲ですよね。

 Re:Love、トラフィックライト。、じゃないズのそれぞれのユニットでフォーメーションが組まれてるのもかわいいし、何より振り付けが踊りやすい、楽しい……

 本当に怒涛のセトリだったからこそ、この癒される曲が最後にくるのすごくいい構成。

 興奮しきった頭がふわ〜〜ってほぐされていくような、本当に疲れて帰った夜のお風呂みたいな感覚でこのラストを毎回迎えていました。

 

 

 駆け抜けるようなスピード感でここまできて、みんながはけていく。

 最初見た時、ここで頭を抱えました。

 正直アンコールにまあ数曲は残すだろうなって予想はしてたけど、まさかこの2曲か!ってなりました。

 「平成パラダイムチェンジ」と「烏合之衆」。

 この2曲なら、絶対オチはこっちじゃん……と本気で「はわわ」って言いかけました。

 

 

 そしてついにアンコールを呼ぶ拍手の雨が止んでメンバーが再登場して、「平成パラダイムチェンジ」のイントロへ。

 「平成パラダイムチェンジ」、すごくいい曲じゃない? いや全部いい曲なんだけどさ。

 ラストサビ〜台詞のところまでがすごくすごく沁みるんですよね。

 そして最後のさ、「一緒に行こう 次の未来へ」をぷんちゃんが真っ直ぐ前を向いていうの、すごく良い。

 これから向かうめせもあ。の未来を思うと、この台詞を真っ直ぐ観客へ届けられるのって、ぷんちゃんしかいないなって思います。

 halyosy先生、未来透視でもしてた?

 

 そしてラスト!問題の!「烏合之衆」!!

 こんな気迫を見せつけられて、泣かずにいられなかった。

 烏合は、コロナ禍に飲み込まれてしまった私たちの背中を力強く押し続けて、火を絶やさないでいてくれた本当にエネルギーのある曲だと思う。

 今までこの曲をパフォーマンスするときは、凛とした、というか、ピリっとした空気を作り上げてから始まってた印象があるんだけど、今回はすごくいい意味でこの曲を楽しんでるなって感じた。

 遊べてるというか、曲をモノにした感じ。

 ちゃんと「烏合之衆」を自分の武器に、翼に変換しきったんだなあって。

 正真正銘めせもあ。は、主人公が九人揃って起こした革命の物語だ。

 それを肌で感じたラストだった。

 

 

 本当に目まぐるしいセットリストだった。

 いくら彼らがアイドル10年目のプロとはいえ、途中で体力や気力が底を尽きてもおかしくない。

 だけど彼らはやり切った。笑顔で胸を張って、堂々と。

 「プロだから」「お金をもらってるんだから」「仕事だから」

 そういう言葉で片付けてしまえば簡単かもしれないけれど、私は「アイドル気取り」から始まった彼らがこのセットリストを全国ツアーで完走したことを心の底から誇りに思う。

 歌や踊り、あるいはトークを含めた「パフォーマンス」というものを買うのって、結構勇気がいることだと思う。

 だって「パフォーマンス」は服や化粧品と違って手元に残らない。一晩で消える儚い商品だ。

 記憶という不確かなデバイスにしかデータは保存されないし、同じツアーでも会場や日によって仔細は異なるし、100%同じパフォーマンスを再現するのは不可能だ。映像化されたところで私たちができるのは追体験でしかない。

 歌も踊りもトークはもちろん、表情や仕草ひとつから、「生きている」ということ全てが商品に、そして消費や審査対象になってしまうアイドルってすごく残酷な職業だと思ってしまう。

 だけど、私たちは彼らからしか得られない幸福感を知ってしまった。だからこそ「パフォーマンス」という形のないものを買う。

 

 私は彼らを愛している。

 たかがアイドル、されどアイドル。

 そして私たちだって「オタク」「ファン」という言葉で括ってしまえばまるで浅慮な存在だけど、まず一人の人間だ。

 私たちは一人ひとり、彼らと、彼らの音楽と、彼らの言葉と、彼らのパフォーマンスとのかけがえない、唯一無二の物語を持っている。

 長短に関わらず、確かに培ってきた時間の重さと温かさを少なからず抱え込んでいるからこそ、泣いてしまいそうなほどの多幸感を覚えることができるんだと思う。

 

 客席からカラフルな光の海をぐるりと眺めるたびに思う。

 Muddy Waterや真逆の糸の水音に合わせて滴るペンライト、Flower Windの「愛してるよ」に合わせて咲いていくペンライト、「アイドル気取りで何が悪い!」とメンバーを指差すペンライト。

 あげたらキリがないけれど、掲げている色が違うそれらの動きが一気に揃う瞬間が大好きだ。

 この空間にいる一人ひとりが、あのステージの上にいる9人と物語がある。

 その物語は文字にしなければ記録にならない。だけど確かな記憶としてその人の心に刻みつけられていく。

 それはきっと時には涙を引き連れてくるし、けれど必ず笑顔ももたらしてくれる。

 

 これはこれからもずっと続く物語の1ページだ。

 私は彼らとあの場所に一緒にいた。確かに歴史を刻んだ。

 その事実はきっとずっと、これからの私を構築する大事な要素になると思う。

 

 私は彼らを愛している。

 たかがアイドルと、たくさんいるファンのうちの一人。

 だけど私は確かに彼らの物語の登場人物で、彼らも私の物語のとても重要な登場人物。読んでくれているあなたにとってもそうだと思う。

 彼らの浴びる拍手喝采に、祝福を。

 来年ついに訪れる大きな夢の舞台。そしてその先の道が光に満ちていますように!