主人公をみつけた

世界の隅にいるオタクのブログ

イイコは何色の夢を見るか

 

※このブログを読む人はもうMeseMoa.というニコニコ動画出身のメンズアイドルグループも、2022年11月18日にリリースされた「イイコノママデ」も、2022年3月14日に日本武道館単独公演を行うことも、その先の活動についてもご存じであるということを前提に書いていきます。
※詳しくは「MeseMoa. イイコノママデ」で検索!

 


イイコは色の夢をみるか

 

 まずはにーちゃん、初センターおめでとうございます!
 結成10年という節目の年にあなたの言葉がありのままのせられた歌がリリースされてよかった。
 リードボーカルとして、そしてコーラスとしてMeseMoa.の中でもひときわ鮮やかな色を持つあなたの声が輝く、あたたかい光を抱きしめたような気持ちになる曲です。
 こんなに多幸感たっぷりなのに素直に泣けてきちゃう歌なんてそうそうないと思います。
 いろんな気持ちの重ね方ができるだろうからライナーノーツは書かないと宣言してくれたあなたの言う通り、自分としての受け取り方を考えようと思います。
 この曲をたっぷり浴びれる冬ツアー、一生続いてくれ〜〜〜!!!!まだ北海道公演、宮城公演、愛知公演はチケット発売中だってさ!!!!eplusにて絶賛発売中だよ!!!!

 

 

 さて、この記事ではにーちゃん自ら筆をとった歌詞にも触れつつ、メインフォーカスはMVにあてて考察のようなものを書いていこうと思います。
 大前提として、私はただのいちオタクでしかなく、発言に責任は持てません。全部末尾に見えないカッコ書きで(知らんけど)がついてると思ってください。

 また、文中では基本的にはメンバーや関係者の皆様をあだ名で、あるいは敬称略して表記していきます。ご了承ください。

 

おとなこども、モラリアム

 

 今回のMVは3つの衣装が使用されています。


①メインビジュアル
 新緑を思わせるあざやかな緑のスーツ。
 無駄な装飾もなく、それぞれに合わせたデザインも相まってすごくスタイリッシュな印象。

 

②童話モチーフ衣装
 ①と同時に登場する童話・文学をモチーフとした衣装。
 にーちゃん、気まぐれプリンス、とみたけは「星の王子さま(あのときの王子くん)」。
 ノックソ、白服、フォーゲル は「白雪姫」。
 野崎弁当、あおい、二番煎じは「シンデレラ」がモチーフと思われます。

 

③スクールスタイル
 オールドスタイルの大学生を思わせるカジュアルな衣装。
 ①衣装と対比してメンバーカラーを取り入れたカラフルな衣装はかわいらしく、若々しい印象。


 「イイコノママデ」は、特にMVで「大人と子供」が主軸になっている印象を受けました。
①は大人。②はこども。③はモラトリアム。

 ②の童話衣装はソロで抜かれたりすることなく、あくまでも①の後ろでバックダンサー・背景・舞台衣装として扱われています。

 「イイコノママデ」はラブソングであり、変化を歌う歌だと思います。

 忘れることのできない、そっと終わった恋を抱きしめた「僕」(=大人)の後ろには、子供だった自分・モラトリアムに浸っていた自分がいる。

 個人的にその三つの側面を描いているのがMVの三つの衣装なのかなと感じました。

 

 

林檎の実とガラスの靴、それから薔薇の花

 

 次に触れたいのは②の童話衣装における配役とそこで扱われているモチーフ・アイテムです。これは本人に確認が取れたパターンとそうでないパターンがあるので、曖昧な部分が多いです。

 作中では上記の通り三つの作品がモチーフになっています。

 

 まずは「白雪姫」。

 作中にも分かりやすくリンゴが登場しますね。

 白服さんは「王子様」。のっくんは「魔女」。ゲルたんは「小人」だそうです。

 ちなみに白服さん、衣装にでっかくHって書いてあるから狩人(Hunter)かと思ってましたがこの配役は白服さん本人からの言質があったみたいなので、他の二人含めて確定です。のっくんが魔女なのめちゃくちゃわかるしつばひろの魔女帽子があんなに似合う成人男性いるんだナ……とにっこりしちゃう。

 そしてその三人をバックに歌うのが二番くん、野崎さん、あおいくん。

 これは単純にモチーフが出しやすいからかもしれませんが、なんとなく背景に置かれている小物たちが「魔女」の持ち物ばかりな感じがするんですよね。鏡にランタン、林檎に髑髏、怪しげな瓶たちなど。

 他のグループにも共通していますが、各物語の主人公にダイレクトにつながる小物がなんとなく少ない印象があります。 

 

 次に「シンデレラ」。

 歌詞の中でも「魔法」「12時」というワードが入ってますね。

 あおいくんは「ねずみ」、野崎さんは「馬車の御者」もしくは「大臣」、二番くんは「王子様」と思われます。そしてそんな三人をバックにしているのがにーちゃん、とみたん、ぷんちゃんです。

 この作品の中でにーちゃんが手にしている「ガラスの靴」は、イルミィの象徴なのかなと感じました。というのも、楽曲が終わった最後のラストカットにはガラスの靴をおいた椅子を囲うMeseMoa.という構図が入ります。そしてそのガラスの置かれた椅子というのは、11/3に行われた10shot撮影会で使われた椅子なんですよね。

 10shotの時、MeseMoa.のメンバーは重厚な茶色の木製の椅子に対してイルミィが座る椅子は白い椅子でした。単純に分かりやすいようにしてるのかな? とその時は思ったのですが、MVを見て答え合わせをしたような気持ちになりました。

 ガラスの靴って、もしかして私たちなんじゃないのかな、と。

 MeseMoa.のファンの総称は「イルミィ」です。「Illumination(灯)」から取られている、MeseMoa.を導く光という意味合いをこめてくれているものです。

 「ガラスの靴」は物語の中でどんな存在でしょう?

 舞踏会へシンデレラを連れて行ってくれた「魔法」の象徴。そして王子様との「再会」におけるキーアイテムでもありましたね。歌詞の中にも「再会」を思わせるワードがあります。

 このカットにMeseMoa.からのメッセージを感じずにはいられないです。うちらのことめちゃ好きじゃ〜ん!

 そして話は少し戻りますが、全員が踊るカットにはシンデレラのドレスっぽいものがあるのに、この六人のシーンにドレスはないんですよね。単純に配置バランスの関係かなとも思いますが、「主人公がいない」ことになんとなく意味を見出したい。(「烏合之衆」の歌詞を汲むなら、主人公はあくまでもMeseMoa.の九人とか、そういうニュアンスだったらうれしいなって思います)

 あとちょっと外れるけどねずみがあおいくんなの最高にキュートじゃない?マジでトムジェリだしそもそも絵文字も🍎の前は🐭だったし。イイネ…………

 

 

 最後に「星の王子さま(あのときの王子くん)」。

(※一般的なのは「星の王子さま」ですが、個人的に新訳の「あのときの王子くん」がすごくしっくりくる&好みなので併記しています)

 配役は気まぐれプリンスが「パイロット」、にーちゃんが「地理学者」、とみたけが「きつね」かなと思っています。そしてその三人をバックに歌うのが白服さん、のっくん、ゲルたんの三人。

 個人的に本当に「星の王子さま(あのときの王子くん)」が大好きなので、特に登場人物の台詞などを引用しながらここに関してはお話ししたいです。

 「星の王子さま(あのときの王子くん)」は簡単にあらすじを話すと、「ぼく(=パイロット)」の自伝と、小惑星B612からやってきた「王子くん」の語りが交わる形で構成されています。「王子くん」は自分の星にいた「バラ」と別れ、色んな星を辿りながら「地理学者」に地球の存在を教わり、「ぼく(=パイロット)」や「きつね」に出会います。

 そうして愛だったり友情だったり、心についてたくさん考えていくのです。児童文学の顔をしていますが、大人向けの哲学書みたいな側面もあるのでよかったら読んでください。青空文庫で読めます。

 そして、作中で彼らはこんなセリフを「王子くん」へ語りかけます。

 

きみを、ひとりにはしない。

──パイロット

 

わしらは、花については書きとめん。(中略)というのもな、花ははかないんじゃ。

──地理学者

 

「(前略)おいらはパンをたべないから、小むぎってどうでもいいものなんだ。小むぎばたけを見ても、なんにもかんじない。それって、なんかせつない! でも、きみのかみの毛って、こがね色。だから、小むぎばたけは、すっごくいいものにかわるんだ、きみがおいらをなつけたら、だけど! 小むぎはこがね色だから、おいらはきみのことを思いだすよ。(後略)」

──きつね

 

引用元:あのときの王子くん(青空文庫

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作 / 大久保ゆう訳

https://www.aozora.gr.jp/cards/001265/files/46817_24670.html

 

 最初は奔放に振る舞う「王子くん」に苛立ちを覚えるパイロットですが、最後は彼が小惑星B612に帰ってしまうことを悲しみ、「王子くん」をぎゅっと抱きしめます。

 地理学者は、自分が納得するまで同じ質問を繰り返す「王子くん」に淡々と応答します。

 きつねは、「王子くん」に「おいらをなつかせてくれ」と友達になることを持ちかけます。

 

 特にきつねの台詞、アァ〜〜?!ってなる人も多いんじゃないでしょうか。

 そう、こがね色なんですよ。

 

www.youtube.com

 

 秋の実りゆく黄金色なんですよ………………!!!!!!!

 このセリフを言うきつねを、とみたんに当ててくれて本当にありがとう感謝サンキュー……

 

 あと、そもそもパイロットも子供の心を忘れられないでいるけれど、周りの大人たちの言葉に耳を傾けて大人のふりをしている存在なんです。「本当の自分の色思い出せず」にいる大人の一人なんですよね。

 そして「地理学者」は「星の王子さま」の作中では「つまらない大人(だけど、よくいる大人)」のメタファーとして描かれています。自分の色を完全に見失ってしまったとき、私たちは直接見たこともない世界を、人から与えられた情報だけで完全に把握した気になってしまうのかもしれませんね。

 まあこの曲と星の王子さまとイイコノママデをつなげるのはあまりにも暴論かなと思ったんですけど星と星を勝手に線で繋いで神話を作ることも許されるんだから許してくれ。

 

 あとまだ続くんですけど(ごめん)、地理学者って諸行無常を知ってなお、不変・不動を求めるんですよね。花は儚いから、すぐに移ろってしまうから見ないふりをするんです。そして滅多に動くことのない山や大海原を愛するんです。それってなんだか……なんだか……!!!!

 

「いい、このままで」

 

 

とまたえたら


 さて、ここまでで3つとりあげた童話・文学の共通点はなんだろうと考えた時、星の王子さまだけちょっと外れてる印象ですよね。

 「白雪姫」「シンデレラ」ときたら「美女と野獣」や「人魚姫」とかが続いても良さそうなのに、「星の王子さま(あのときの王子くん)」なのはなぜなんだろう。

 その理由を考えたときに、「再会する物語」を選んだのでは? と気づきました。

 「シンデレラ」は12時を過ぎてしまって元のみすぼらしい姿に戻ってしまうけれど、ガラスの靴を拾った王子様と再会する。
 「白雪姫」は毒林檎を食べてしまいガラスの棺で眠りにつくけれど、王子様と再会して目覚めのキスをする。(調べた限り王子と「再会」するストーリー構成はディズニー映画独自のものではあるけれど、グリムからの一種の派生として扱います)

 そして「星の王子さま(あのときの王子くん)」はラストシーン、王子くんが自分の星、小惑星B612に置いてきてしまったバラの大切さに気づいて帰る(=薔薇にまた会いにいく)。

 

 いつかまた巡り会えたら、という作り手の願いが込められてたら、それはとても幸せなことなんじゃないかなと思います。

 それがMeseMoa.の9人みんなという意味でも、私たちオタクとアイドルのみんな、という意味でも。

 

 

」はなのか

 

 ここからは歌詞にもメインフォーカスを当てていきます。

 

 

 ──君がかけた魔法だけが今も消えずにここにあって

 

 初めて聞いた時から、「君」って誰を指してるんだろうなあとずっと考えていました。

 私はにーちゃんの思考回路を汲み取れるほど彼のひととなりに踏み込んだことはないけれど、それでも彼がただの漠然とした恋愛の相手を指すだけの表現をしないように感じていました。

 誰が、何がかけた魔法なんだろう? と考えたときに、個人的にしっくりくる言葉がありました。

 「MeseMoa.」です。「仲間」でもいいかもしれない。

 じゃあ「MeseMoa.」がかけた魔法ってなんだろう?

 「君」がかけた魔法は、「恋」です。

 じゃあ何に置き換えられるかな、ってなった時に、もしかしたら「MeseMoa.」がかけた魔法は「夢」なのかな、って。

 もちろん言葉を言葉通りに受け取りたいんですけど深読み妄想オタクには無理でした……こうなっちまうってこんなの……解釈違いも異論も受け入れるんですけど私にはこう聞こえたんです……耳の悪いオタクだなあって思っていただければ……

 

 

 ──And if-I may say more.

 

 これさあ、すごくない??? どうしたってMeseMoa.っていうとるわ〜って思ったし、まあ多分めせもあって歌いつつ本当は"Message More."とかなんかなとか思ってたら、"may say more"!!!!

 "If I may say"は、最後に”so”を加えた"If may say so"というフレーズだとビジネスとかで使われやすい「もしよければ」とか「言わせていただくと」っていう意味合いらしいんですけど、ここではもっとラフな訳になるかと思います。

 たぶん、本当に素直に訳して「もっと伝えられたら」とか、「もしこうやって言えたら」とか、後悔や、あるいは祈りに近い言葉なんじゃないかなあ。

 

 

 ──恋はきっと炎天下の黄緑色なんて思った

 

 このフレーズすっっごくずるくないですか…………

 黄緑って、白服さんとフォーゲルさんの色じゃないですか……

 めせもあの日である8/16は夏真っ盛りの炎天下………

 泣いちゃう…………𝑳𝒐𝒗𝒆 𝑳𝒆𝒕𝒕𝒆𝒓すぎる……

 しかもこの時のフォーメーション、白服さんとゲルたんは向かい合ってるんだよね……

 苦しすぎるほどの酸味は多分レモンを連想させるものになるんですが、これはもう散々皆さんがいろんなところで叫んでいる通り、花言葉は「誰かを心から恋しく思う」です。

 そんなのずるいジャン…………

 

 

 ──僕が編んだ魔法だけが今も消えずにここにあって

 

 ここ、冒頭の歌詞の対比にするだけだったら「君がかけた」に対して「僕がかけた」にすればいいんですけど、「編んだ」という言葉を選んでいるのが本当に絶妙だなと感じます。

 「編む」という言葉は、「作る」とか「産む/生む」とかと意味合いはちかいけれど、決定的に違う点があります。「編む」は、「いくつかある要素・物を撚り合わせる、ひとつのものにする」ことです。

 0から1や100にするのではなく、それぞれ1として存在するものを寄せ集めてくっつけて、ひとつの存在に紡いでいく。これってなんだか、まさしくMeseMoa.というか、仲間というか。

 ここを聞いた時、本当にすごくいい言葉選びをしてるなこの人〜〜〜!!ってなりました。

 魔法を編む、夢を編む、MeseMoa.を編む。めちゃくちゃいい。たまらん。

 

 

 ──「こんなの初めて…」

 ──「これが、恋…!」

 

 白服さんとフォーゲルさんのセリフですね。

 個人的にこの二人は、特にむすめん。時代の楽曲で曲中のセリフが多い印象があります。

 

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 とか 

 

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 とか

 

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 とか。あと街頭アンケートとかもだっけ?

 MeseMoa.に入ってくるとそもそも作中セリフが全員に割り振られていることが多いのでちょっと話が違ってくるんですけど、思い返すとなんか多いな〜っていう気持ち。

 歌割りしたのもにーちゃんだと思うので、もしかしたらその辺の流れも汲まれてるのかなあって思いました。

 

 

 

 というわけでここまで6000字以上。一般的に500文字読むのに1分程度かかると言われていますから10分少々みなさんの時間を浪費させてしまったことをお詫び申し上げます。あるいはここまで読んでくれた人の方が希少な気がします。お付き合いしてくださった方本当にありがとうございます。

 冒頭にも書きましたがこのブログ内での私の発言には一切責任を持てませんし、これが正解だと掲げる気もありませんし、ただのオタクの深読み妄想であることをご了承くださいませ。

 熱量が明らかにおかしいのは火を見るより明らかですが、もしかしたら結論を言うと「星の王子さまを読んでください」かもしれない。

 イイコノママデ、本当はもっと深掘りできる要素がある気がするんですがこれ以上はもう他の方に任せます。

 にーちゃん、本当に最高に素敵な曲をありがとうございました。

 この歌がたくさんの人に愛されて、長い時間を一緒に過ごせますように。

 

 

 

 

MeseMoa.公式HP
http://www.mesemoa.com/index.html

MeseMoa.公式YouTube
https://youtube.com/@MeseMoa.

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